友人の母親から空き缶を捨ててくれと頼まれて、それを「たまたま」トランクに入れっぱなしにしたのだという。
「最初は私も息子の話を信じたんだよ」とNは言った。
「そうしたら妻に呼ばれて、「あなた、頭がどうかしてるんじゃない?」となじられた。
一流大学への進学を控えている別の男の子も、15歳ぐらいから万引きを繰りかえす時期があった。
どうしてそんなことをしたのか?この質問に彼は、ほしいものを手に入れるための「簡単で安あがりな」方法だと思ったからだ、と答えた。
M大学の神経科学者C・Nによると、ティーンエイジャーには急に嘘をつきはじめる時期があるという。
ほんとうはちがうのに、「スージーの家に泊まった」と平気で両親に言えるようになるのだ。
だがこれも、彼らにとっては問題を解決しようとするひとつの手段であり、さらには前頭葉の発達と関係があるらしい。
「嘘をつく行為には、親や周囲の人から距離を置こうという心理的な側面もあるが、同時にさまざまな問題から逃れる手段でもある」とNは解説する。
「こう言っておけば、うまいことやり過ごせると思うわけだ。
ただ思春期の認知能力の発達については、まだ異論が多い。
C大学で認知発達を研究するD・Cは、思春期に入るころには、脳は内部の急成長より、むしろ外からの影響に左右されると考える。
つまりこの時期に重要なのは、脳に流しこむ内容だというのである。
「高次元の思考に到達できるかどうかは、もっぱら本人が生活する文化や、そこで得る経験が決める」道徳観の発達を長年研究してきた、C大学バークレー校の発達心理学者E・Tによると、たしかに子どもは思春期に入ると、道徳的な推論のしかたに明らかな変化が生じるという。
自分の利益に直結することだけでなく、大きなスケールでものを考えられるようになるし、対立する善と悪の中間に妥協点を見いだそうとする。
こうした変化を引きおこすのは、社会での実体験から得られる道徳的な教訓だというのが、Tの立場だ。
だが神経科学の最近の研究結果を見ると、生物学的な要因も無視できない。
たとえば協力という行為だが、これはあとから学習するものだと広く思われている。
しかしその源流は生物学的にたどれることが、最近の研究で明らかになった。
ジョージア州アトランタにあるエモリー大学の研究グループは、脳スキャンを用いた実験で、人間が協力するときに活動が盛んになる場所を突きとめた。
注文住宅もあれば、さほどお得でもない注文住宅まであります。